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OB運営サポーターについて
より交換機らしい動作へ 「A形交換機(5桁対応)」復元成功!
これまでも、A形交換機(2桁対応)、磁石式手動交換機などの復元をしてこられた、寺脇さん、千葉さんが、今回は5桁の番号がかけられるA形交換機の復元に成功されました!ずらっと並んだスイッチは圧巻です。
■今回復元を行われた「A形交換機」の特徴や復元の上でのこだわりを教えてください。
前回復元したA形交換機はセレクタスイッチを介さず、コネクタスイッチのみで接続を行っていたため、最小規模(100回線式)の構成でダイヤル桁数も2桁でA形交換機としてはさびしい状態でした。今回、逓信総合博物館から寄贈いただいた史料の中からセレクタスイッチを4台流用できることが判明し、これらを使用することで、ラインスイッチ、セレクタスイッチ(1次~3次)、コネクタスイッチを使用した、より交換機らしい構成を実現することが出来ました。使用できる番号桁数も市内局番を含めて5桁となり、より電話らしい番号になったと思います。また、ラインスイッチのワイパ回転による空き線選択の様子と、4台のラインスイッチと2台の1次セレクタの接続による集線の様子もわかりやすくなったと思います。
■復元で苦労された点等を教えてください。
今回の復元では、3つの大きな壁があり、それらを解決するのに苦労しました。
一つ目は、各部品を集めすべての配線を行って電源を入れたところ、全く動作しなかったことです。前回の復元により回路構成やスイッチ動作などがだいたいわかっており、配線にはそれなりに自信があったので少し焦りました。結果としてはコネクタの不調が原因でしたが、それが分かるまで様々な段階での切り分けを行いました。最終的に、前回の復元に使用したコネクタを使用して配線しなおした結果、無事動作したことからコネクタの不調という事が判明しました。
二つ目はラインスイッチがうまく回らなかったことです。今回4台のラインスイッチを使用していますが、想定したバンク接点位置で止まらない、という問題がありました。一台一台チェックし、最後の一台で端子一つ一つを確認していったところ、一部の端子のアースがつながっていず、電気が流れていなかったことが分かりました。目視の確認でハンダづけは問題なく見えたのですが、電気的にうまくつながっていなかったことが原因だったようで、ハード経験者としてチェック不足だったようです。
三つ目はまたラインスイッチの問題で、これの解決には数か月を要しました。ほかの動作はすべて正常に動くのですが、1台のラインスイッチのリレーがうまく動作せず、接続している度数計も動いていませんでした。様々な確認を行っても原因が分からなかったのですが、NS研の現役研究者らの協力によって、ラインスイッチのリレーボックスの中で金属粉を含むホコリによってショートを起こしていたことが判明しました。これはまったく想定しなかった場所での貴重な発見でした。
■今後の展望をお聞かせください
信号音源を入手し、「発信音(ダイヤルトーン)」や「話中音(ビジートーン)」を出せるようにしたいですね。また、ダイヤルつきの磁石式交換機とA形交換機の相互接続を行い、磁石式の電話からダイヤル式の電話へと接続が行えるようにしたいと思います。
最近では、携帯電話が増えたことで、発信音を耳にする機会が少なくなったように思います。「発信音を確認してからダイヤルを回す」という習慣は現代ではなくなってきているのかもしれません。デルビル磁石式電話機から、4号電話機などのダイヤル式電話機に電話を掛ける体験ができるようになるのは楽しみですね!寺脇さん、千葉さん、どうもありがとうございました。
<寺脇 元二 (テラワキ ゲンジ)>
1963年に日本電信電話公社 電気通信研究所に入社、以後、D10電子交換機の通話路系の開発に携わる。D10形電子交換機の経済化を目指したSMMスイッチ等を使用した方式の実用化を手掛け、アナログ電子交換機の最終モデルとして全国導入に結びつけた。
2009年OB運営サポーター創立時よりご活躍。
<千葉 由一 (チバ ヨシカズ)>
1969年に日本電信電話公社 電気通信研究所に入社、以後、D10電子交換機の通話路系の開発に携わり、次にD70ディジタル交換機の開発などを手掛ける。
2010年よりOB運営サポーターとしてご活躍。