NTT技術史料館 デジタルアーカイブ DIGITAL ARCHIVES |
C400形クロスバ交換機C400形クロスバ交換機 積滞解消を実現した高機能クロスバ交換機1950年代、日本電信電話公社(電電公社、現NTT)が検討・開発を開始したクロスバ交換機は、縦横の格子状(クロス)に金属の棒(バー)を配したクロスバスイッチを用いる交換機で、日本においては海外の交換機を参考にしながらも独自の技術開発を重ねました。その集大成ともいえる「C400形クロスバ交換機」は、回線収容数も格段に多く、動作も速い高機能でありながら、長寿命で経済的にも優れた交換機として、1967年に導入が開始されました。 当時、電話の需要に設置が追い付かない「積滞」状態が大きな課題となり、その解消が強く求められていましたが、この交換機の普及により、申し込んだら“すぐつく電話”(=積滞解消)、かけたら“すぐつながる電話(=全国自動即時化)”が1970年代後半に実現し、電話サービスが格段に向上しました。 また、「C400形クロスバ交換機」は当時、世界で最も優れた性能と経済性を持つ交換機として日本の重要な輸出品にもなり、通信機器産業の基盤強化に大きく貢献しました。 その後の自動交換機は、さらなるサービス向上に向けて、電子交換機、ディジタル交換機へと発展していきます。 C400形クロスバ交換機開発の背景1890年に東京・横浜で手動交換機を用いて始まった電話交換業務は、自動交換機であるステップ・バイ・ステップ交換機を1926年に導入し、自動交換の歴史が始まりました。その後、戦後復興から高度成長へと向かい日本経済が成長していく過程で、電話需要が急速に増大し、加入申し込みは増加する一方、電話の架設が追いつかない状況(積滞)が深刻化していました。 また、市内通話はステップ・バイ・ステップ交換機で自動化されていたものの、市外通話については交換手による手動交換が行われており、さらなる利便性が求められていました。 電電公社発足後の二大目標としての積滞解消と全国自動即時化に対応するため、海外で開発され始めたクロスバ交換機を参考にしながら、日本に適した方式のクロスバ交換機の研究開発が進められました。 クロスバスイッチ C400形クロスバ交換機の特長クロスバ交換機とは、格子状に配された金属の棒の交叉点に配置されたクロスポイント接点からなる通話路スイッチを電磁石の力で動かし通話路を形成する交換機で、ステップ・バイ・ステップ交換機よりも耐久性に優れ、雑音も少ないことから世界で注目されていました。 当初、海外のクロスバ交換機が先行していましたが、日本にクロスバ交換機を導入するにあたっては、日本独自の方式で実現することをめざしました。日本の交換網改善に適した将来方式を実現すべきという気運や、既存設備との整合性や将来に向けた融通性などを考慮して選定された方式でした。部品については、実績のあるウエスタン形クロスバスイッチ、ワイヤスプリングリレー(*1)など信頼性の高い部品を採用しました。 初期にはC4・5、C8、C6などの機種が開発され、その後さらなる改良、さまざまな方式検討・研究開発の積み重ねにより、「C400形クロスバ交換機」として集大成されました。 「C400形クロスバ交換機」は、全共通制御方式(*2)を実現し、回線収容数61,440端子、トラヒック容量2,880アーラン(*3)という当時最も大規模な交換能力を持っていました。C400形と同じ構成の小規模交換機C460形も開発され、全国をきめ細かくカバーすることができました。世界でも、最も経済的かつ省スペースの交換機として評価されました。 また、市内接続機能のほかに市外発着信機能を付加することにより、市内および市外交換機として適用領域を広くすることが可能になりました。 C400形クロスバ交換機がもたらした効果国内へ「C400形クロスバ交換機」が広く普及することにより、1978年には加入電話の積滞解消により“すぐつく電話”、1979年には全国自動即時化により“すぐつながる電話”が実現されました。また、プッシュホンの実用化と組み合わせ、短縮ダイヤル・転送などの新サービスも提供可能となり、国民生活の利便性を飛躍的に向上させるとともに、経済発展にも大きく貢献しました。 また、「C400形クロスバ交換機」は、優れた性能と経済性で世界市場へ輸出され、外貨獲得にも貢献しました。
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