フロアガイド
3階フロア
文字・画像の通信とサービスの技術
ネットワークで使うコンピュータ(DIPS)昔の電報・コンピュータ時代の電報(電報)
<DIPS>開発プロジェクト
1968年、電電公社はデータ通信サービスの急速な普及に対応するため、ネットワークで使う大型コンピュータの早期実現をめざして、国産汎用機メーカとの共同研究体制によるDIPS開発計画を開始しました。標準化、オンライン用電算機システムの実用化、電子交換や新伝送方式との親和性、信頼性工場、経済化がおもなねらいでした。DIPSはデータ通信サービスや社内情報処理システムに広く用いられました。1990年代まで続いたプロジェクトは、オンラインコンピュータと大規模ソフトウェアの技術開発、人材の育成などで日本のコンピュータ産業の発展に大きく貢献しました。
<DIPS>の歴史
立ち上げ期(60年代) のDIPS-1に始まり、拡充期(70年代) のDIPS-11/10からDIPS-11/5シリーズを経て、成熟期(80年代) のDIPS-11/5Eシリーズ、マルチベンダ転換期(90年代) のDIPS-11/5EXシリーズ、80年代初頭に登場する小型機のDIPS-Vシリーズと展開する歴史を、本体系、通信制御系、ファイル系、システム制御系、ソフトウエア、ネットワークアーキテクチャなどに分けて紹介します。集積度を高めていく半導体素子をはじめ、さまざまなデバイスの進歩を活かして成長していく日本のメインフレーム。一つの技術開発プロジェクトが、長いアプローチを経て高い峰に登りつめ、歴史的役割を終えていくまでのドラマが、鮮やかに浮かび上がってきます。
電報中継機械化方式の開発
電電公社が生まれた1952年、アメリカの電話普及率は3人に1台、日本では10人弱に1台でした。電話不足への対応の一つが電報サービスの強化でした。この年に日本人は9,000万通弱の電報を打っていますが、電報通数のピークが1963年の9,500万通弱ですから、50年代初頭の電報の役割の大きさと自動化の緊急性が理解できます。電報中継機械化方式の開発は、電電公社発足以前から逓信省 - 電気通信省の手で進められてきました。そして1953年に水戸局で正式開通したTX-1形は世界初の全自動式中継方式であり、手作業に頼っていた電報中継の作業を近代化したのでした。
コンピュータ通信の時代へ
やがて電報中継もコンピュータ通信の時代に入ります。国内電報ではTXAS、無線電報ではSMARTに始まるコンピュータ化されたシステムは、受付から送達までを一貫して処理、パケット網を通じて伝送します。コンピュータによる電文処理によって、電報は片仮名から漢字かな混じり文になり、写真などを入れるサービスも行われていました。慶弔電報のデザイン以外にも多くの付加価値が用意されているのです。
展示概要
ネットワークで使うコンピュータ(<DIPS>の開発)
<DIPS>開発の全体像。開発の意義と広がり。技術開発の系譜。
本体系と方式構成技術の歩み
DIPS-1からDIPS-11/5EXシリーズまでの進展。CPU、主記憶装置、チャネル技術など。上位機、中位機、下位機の特徴。
通信制御技術の歩み
通信制御装置(CCP) の発展。7400CCP。ICAなど。
複合構成システムへの発展(システム制御技術の歩み)
同軸ケーブルから光ケーブルへ。PCIパッケージ。制御ADP。
小型プロセッサ開発の歩み
DIPS-V20、V40EXを中心に紹介。VLSIの開発。
ファイル系技術の歩み
磁気ドラム装置。大容量・高速磁気ディスク装置(PATTYとGEMMY)。大容量光記憶装置。データベース専用処理装置RINDA。
ソフトウエア技術の歩み
制御プログラムを核に多様な展開。階層アーキテクチャ、大規模データベース、ソフトウエア生産技術。媒体の変化。
ネットワークアーキテクチャ技術/マルチベンダ対応の歩み
DCNAからMIA、SPIRITへ。世界共通インターフェースへ向けて。
電報送達紙の系譜
送達紙にみる電報の役割の変化。手書きからタイプライタへ。レーザプリンタへ。電報業務の今昔の映像記録。
電報中継機械化方式の開発
自動中継交換方式による近代的電報中継網の形成。TX-Iによる電報業務。
電報とコンピュータ
TXASとメッセージ交換方式。TXAS-IIによる電報業務。コンピュータ化の進展。