フロアガイド
3階フロア
モバイルネットワークの技術(移動体)
ひろがるモバイルネットワークの世界
<III コンピュータとモバイルのひろば>の長崎無線電報サービスセンタの設備が語るように、移動体通信の原点は船舶通信です。電報に手動式の船舶電話、自動式の新船舶電話が加わりました。次に登場したのが列車公衆電話、更にパーソナルな移動体通信サービスの草分けであるポケットベルです。そして、移動体通信の世界を決定的に変えたのがセルラー方式の自動車・携帯電話の開発でした。これを起点に、モバイルネットワークは固定電話網に匹敵するもう一つの巨大ネットワークに成長しました。それは、無線の技術と交換の技術が融合して実現した新しい世界です。
セルラー方式の自動車・携帯電話
1979年、電電公社は東京で800MHz帯を使用して自動車電話サービスを開始しました。セルラー方式としては世界初でした。セルと呼ばれる無線ゾーンをつくり、セルからセルへと動いていく移動機を追跡して交換機で接続するセルラー方式によって、移動体通信はモバイルネットワークと呼ばれるにふさわしい段階に入ります。自動車・携帯電話のネットワークは、安定で高品質の通信を実現するとともに、できるだけ多くのユーザにサービスを提供するために電波資源(周波数) を有効利用することをめざして進化してきました。高い周波数が開拓され、セルは小さくなり、アナログからディジタルへの転換が行われました。その経過を追ってみましょう。アナログの時代、初期の大都市方式ではセルが大きく、電波の利用効率は上げられませんでした。中小都市方式になると、地域に合わせたセル構成が可能になりました。そして、加入者数の急激な増加に対応した大容量方式では、電波利用効率でアナログ世界一を達成し、さらに、他事業者との接続も可能になりました。次の転機はディジタル化。標準化されたPDC方式では、通信の品質も電波の利用効率も向上し、サービスエリアも徐々に拡大され、主力のサービスになりました。方式の進歩を支えたのが置局設計や回線制御の技術でした。こうしたネットワークの発展とともに移動機の小型化と高機能化が進み、iモードのようなインターネット接続サービスの展開も可能となりました。
モバイルネットワークの未来
携帯電話では、国際標準化されたW-CDMA方式が本格的なマルチメディア通信の時代を開こうとしています。音声通信、データ通信に加えて、映像通信が個人レベルで普及する日が近づいています。また、国際ローミングにより、利用可能なエリアも日本国内から全世界へと変わってきています。
このように、モバイルネットワークは、グローバルでシームレスなコミュニケーションを実現します。
展示概要
ひろがる移動体通信の世界
船舶電話から列車公衆電話、ポケットベル、自動車電話、ショルダーホン、携帯電話、PHS。移動機の歩みから移動体通信の歴史を概観。
ポケットベルの進化と技術
無線呼び出しから手軽な情報端末へ。ディジタル化で実現したメッセージ機能。
自動車携帯電話の研究開発
世界初のセルラー方式自動車電話の開発。当時の記録映像も。
自動車・携帯電話の発展(大都市方式・中小都市方式)
基地局設備にみる初期アナログ方式の発展。セルの小型化など。
自動車・携帯電話の発展(大容量方式)
基地局設備にみる携帯電話発展期のアナログ方式。加入者数の急増に電波利用効率の向上で対応。
自動車・携帯電話の発展(PDC方式)
基地局設備にみるディジタル方式。標準化で他事業者との接続も可能に。
自動車・携帯電話の発展(W-CDMA方式)
移動機モデルにみる本格的マルチメディア通信。
H21年にFOMA BTS装置 BS-2001を新たに展示。
自動車・携帯電話の発展(回線制御技術)
置局設計と回線制御の技術。電界強度分布の測定。交換機。
モバイルネットワークサービスの進展
自動車・携帯電話・ポケットベル・PHSは多彩な移動体通信サービスへ展開。
PHSの進化
基地局と移動機にみるPHSの新しい展開。
陸海空にひろがる移動体通信
船舶電話。列車公衆電話。航空機電話。
衛星移動体通信の技術
衛星移動体通信のシステムと移動機。