展示パネル情報
2階フロア
アクセス系システムと所外インフラの技術
ネットワークのシビルエンジニアリング(土木)
通信ルートのグランドデザインについて
通信ルートのグランドデザイン
ネットワークを構築する技術のなかでも、シビルエンジニアリングは網構成上最もベーシックなレイヤに位 置するとともに、自然環境や社会環境と深く関わっている。そのため、設備の構築、維持メンテナンス技術は、社会環境の歴史的変化に的確に対応しつつ進歩してきた。
通信土木はネットワーク構成技術の基盤
社会環境の歴史的変化に的確に対応して
ネットワーク設備を収容するための空間の創造にあたっては収容されるシステムの急速な技術革新の速度を超えて将来を見通す長期的な計画手法が求められる。そのため、グランドデザインを策定し、都市の進展や社会環境の変化などに対応できる普遍的な設備で、技術の進歩やニーズの変動を柔軟に吸収できる設備づくりを推進している。
安全、環境 ー 社会との共生をめざす技術
シビルエンジニアリングの進歩の軌跡
戦前、戦後の物不足・復興期から、高度成長期を経て現在に至るまで、所外インフラ設備の整備は、社会環境の変化や通信技術の進展などに的確に対応して進められてきた。それは、効率性・経済性・信頼性・安全性を追求するとともに、生活環境や地球環境への影響をより小さくする歩みでもあった。
架空構造物の技術について
架空構造物の技術
日本初の架空線は、1897年に東京の銭瓶町の本局から呉服橋までの約600mに架けられた25対紙鉛被ケーブルである。その後、架空線を中心とした線路設備が全国に普及していった。また、電柱の材質が木からコンクリートへ、さらに鋼管へと移行するのに伴い、電柱を建てる建柱作業の機械化や劣化診断の技術も進展した。
電柱は木柱からコンクリート柱へ、鋼管柱も
森林資源を保護して大量建設の要請に応える
電柱の材料や構造は、社会情勢の変化や、効率性、経済性、信頼性の追求の結果に伴って変遷している。木柱は1869年以降全国に広がったが、1955年からは森林資源の保護のためにコンクリート柱に置き換えられていった。1966年以降になると、架空線路を大量に建設するために、より軽量な鋼管柱を導入した。
信頼性と安全性、そして作業の効率化を
進む建柱技術の機械化と自動化
当初、木柱は、根かせを使った工法や丸穴式建柱工法で、人力によって建柱していた。1965年頃からクレーン車や穴掘建柱車を導入し、機械力を利用してコンクリート柱や鋼管柱を建柱するようになった。その後も建柱作業の機械化や自動化を進めることによって、信頼性、安全性、作業性の向上を図っている。
電柱を支える支線-固定する技術
アンカ、ブロック、さらにスパイキボルトへ
当初は、鉄線を根かせ丸太にほう縛して埋設する支線工法が採用されていた。しかし、この工法では施行上の制約があるため、1956年に支線アンカが、1961年には支線ブロックが導入された。その後、地下埋設物を破損する可能性のある地域や硬岩盤地で支線を建設するために、改良スパイキボルト工法が開発された。
木柱の腐朽劣化を外部から判定
木柱腐朽診断器による測定
管路の技術
管路とマンホールの技術
通信ケーブルを収容し保護する管路とマンホールは、建設技術の進展を受け、土質や道路条件に適合するさまざまな工法を開発し実用化した。さらに、材質や防食方法などにもさまざまな改良が加えられ、経済性や作業性向上を実現してきた。
管路の歴史は、通信の地下施設整備の歩み
初期の管路とその建設技術
1896年に建設されたわが国最初の地下管路には、かしめ接続をした鋳鉄管が使用された。その後、比較的安価な石綿セメント管なども使用されたが、作業性や信頼性に優れた鋼管などに置き換えられた。これらの管路は路面を開削して布設され、鉄道や道路を横断する場合は、ハンマまたは油圧などにより地中に水平に押し込まれ布設された。
管路の材料と構造
当初、管路にはさまざまな材質が使用され、戦中、戦後の物資不足の時代にはファイバ管、石綿セメント管などが使用されたが、強度や気密性不足のため、現在は使用されていない。防食鋼管などは、防食性を更に向上した塗覆装鋼管に現在置き換えられている。
大量建設の時代へ
硬質ビニル管とブロック化マンホール
1950年代半ばから電話の拡充計画によって大量の工事が実施されることになり、地下設備も急速かつ大量に建設することが求められた。それを実現するために、管路には低価格で作業性に優れた硬質ビニル管を1966年から採用し、マンホールの築造については、工期を短縮するためにブロックマンホールを導入するなどの対策をとった。
信頼性と安全性、通信品質の向上をめざして
大量建設以後の多様な技術開発
通信土木分野における信頼性と品質の向上は、通信網の常時確保と通信サービスの安定的な提供を意味する。通信ケーブルを収容し保護する地下管路の大量建設が一段落した1970年代から通信土木設備の信頼性や安全性、通信の品質向上を目指したさまざまな建設技術の開発を進めてきた。
マンホール首部の信頼性と品質の向上
1950年代半ばから電話の拡充計画によって大量の工事が実施されることになり、地下設備も急速かつ大量に建設することが求められた。それを実現するために、管路には低価格で作業性に優れた硬質ビニル管を1966年から採用し、マンホールの築造については、工期を短縮するためにブロックマンホールを導入するなどの対策をとった。
マンホール鉄蓄の信頼性と品質の向上
地下配線管路の技術
通信ケーブルを地下に埋設する地下配線方式は、架空配線方式に比べて信頼性、作業性、安全性が優れていたが、建設費が高く工事期間が長いことが課題となっていた。作業効率や即応性に優れたSUD方式の開発によって道路状況への影響や建設費を低減できるようになった。
安全な施工と効率的な地下利用を
社会と共生する通信土木
環境保護に関する社会の関心が高まるなか、NTTは1980年代半ば以降〈社会と共生する〉通信土木技術の研究開発を続けている。より安全性の高い施工方法、地下空間を有効に利用できる管路やマンホール、建設発生土を再利用するための工法など、より高い信頼性の確保や社会生活との調和をめざしている。
中口径管路
発生土改良工法
高機能マンホール
耐震技術の変遷
とう道の技術について
とう道の技術
日本最初のとう道は、1925年に人力による開削工法で建設された。1963年には非開削のシールド工法が採用され、とう道の建設に機械力が導入された。近年ではコンピュータによる自動化が図られている。小区間の〈局前とう道〉から始まったとう道は、1971年に大都市とう道網計画が策定され、東名阪を中心としてとう道網が形成されていった。
初期のとう道
人に頼った工法から機械力の導入へ
1925年に東京中央電話局に建設された日本最初の開削式とう道は、人に頼った開削工法であり、それ以降1960年代前半までこの工法がとられた。その後、道路交通事情への配慮や地下埋設物の輻輳化(ふくそうか)から大都市での開削工法による施工が困難となったため、人力および機械力によるシールド工法が導入された。
シールド工法の進歩
ロボット化へ、環境に配慮した工法へ
1971年大都市とう道網計画が策定され、その建設にあたっては主にシールド工法が用いられた。シールド工法は当初人力と機械力を利用していたが、ロボット化によって掘削の効率化が図られ、さらに環境に配慮した方式へと発展している。
立坑技術
シールド発進・到達のために構築される立坑は、1980年後半以降、地下構造物の輻輳や用地確保の制限などから、より深くなる傾向にあった。一方、都市部での立坑構築は、交通渋滞の回避や騒音対策など社会環境への配慮を十分に行う必要がある。これらに対応して、大深度に有利な工法や施工の高速化を図った工法などを積極的にとり入れると共に、とう道とマンホールを連結する方法を開発した。
セグメントの変遷
手掘り式シールドマシン
カッタビット
立坑設計技術
大都市の通信基盤強化に欠かせないどう道網道路交通への影響を避け地震に強い通信網を
1971年、東京、大阪、名古屋の交換機ビル間を結ぶ、とう道網計画が策定された。これは、大都市における通信網の機能性向上、道路交通への影響回避、大地震に対する信頼性向上などを目的としていた。これ以降、共同溝を含めながら東名阪を中心として、とう道網が形成されていった
専門橋梁と添架の技術について
専門橋梁と添架の技術
通信ケーブルを河川上などを渡す方法として、一般の橋に取り付ける橋梁添架方式と、NTT独自に専用橋を建設する方式がある。橋梁添架方式、専用橋方式とも管路条数、経済性、施工性、保守性などを考慮するとともに、周囲の環境に調和した形式としている。
管路のための橋〈専用橋〉
通信土木の独自技術で設計・構築
橋梁添架は経済的な方法であるため、橋梁の強度が十分であれば管路を直接または桁上に添架することが多い。また、海上などに架けられた長大橋に添架する場合においては、特殊な環境条件、施工条件を克服した橋梁添架技術により構築される。管路条数や保守性、経済性などにより専用橋を建設する場合は、風致や美観上の効果を考慮して、NTTの自主技術によって設計・構築する。
非開削の技術
土質・埋設物調査は非開削工法の前提
設備の大深度化で調査技術も高度化へ
土質・埋設物調査は、安全性や経済性を追求した設計を行うために実施される。近年では、都市部での埋設物輻輳などにより通信土木設備が大深度化する傾向があるため、調査にはデータ処理技術やレーダ技術等を通して非開削探査技術の開発実用化を図り積極的に活用している。なお、土質調査のデータは被災評価シミュレーション<TEL-SAPP>を用いた耐震性評価にも利用される。
地下設備設計の技術
土質調査とデータの活用
柱状図
弾性波探査の技術
地震対策のためのシミュレーション技術- TEL-SAPP -
社会環境は非開削工法を求める
遠隔操作による非開削管路建設が可能に
非開削管路建設工法は道路を掘削することなく管路を布設できることから、管路工事で発生する交通事情の悪化、騒音・振動といった周辺環境への影響、作業者の労働環境などの問題の改善に大きく貢献できる。NTTでは管路工事の非開削化に積極的に取り組んでおり、地下管路建設に適した非開削工法を開発してきた。
非開削推進の系譜
NTTの非開削推進技術による管路工事は1967年の電電削進工法に始まり、管径・管種・推進距離・土質に応じて地下管路建設に適した小口径推進工法を開発してきた。独自の位置検知技術、無排土圧入技術および掘削排土技術、さらにはオペレーション技術などさまざまな技術を開発し実用化してきた。
エースモール
小断面シールド工法
アクセスモール
マルチメディア時代の設備技術について
マルチメディア時代の設備技術
情報流通時代の多様なニーズに対してタイムリーにサービスを提供するためにフリースペース・フリーアクセス管路技術の導入展開を行っている。また、既設設備の徹底的な活用を目的にマネジメントシステムの開発導入を推進するとともに、地球環境保護を配慮した技術の開発を行っている。
ネットワークの構造改革やアクセス網の光化
マルチメディアニーズに対応する基盤整備
マルチメディア社会の早期構築に向けて、高度情報通信サービスに対応した通信基盤設備の整備が求められている。NTTでは、社会のニーズに応えるために、ネットワーク構造改革やアクセス網の光化などを積極的に展開するとともに、関連する基盤整備技術の開発、実用化にも努めている。
分岐管の構造
地球環境の保全に配慮した技術開発
新素材、建設発生土の再利用・地盤の歪み測定
地球環境保護に向けた技術開発のひとつとして、紙のトータルリサイクルを目指した素材の開発や水質浄化及び建設発生土リサイクルへの応用等を進めている。また、生活安全環境を維持するために光ファイバを用いたひずみ測定技術を開発し、構造物の広域監視などのセキュリティシステムへの展開を図っている。
紙のトータルリサイクルをめざすMPMの多彩な利用領域
MPMは、エチレンやホルムアルデヒドなどの有害ガスの吸着性に優れているため、脱臭剤、浄化材や空気調整材などに利用できる技術を開発した。透水性や吸着性が高いため、土壌の改良にも利用される。また、外壁材料等に添加することで、酸性雨などによるコンクリート構造物の劣化を抑制することができる。
流動化埋戻し技術
管路工事による建設発生土の再利用を目的とした流動化埋戻し工法は、建設発生土に水、固化材を混合して液体状にした処理土を埋設管周辺の狭い空隙に効率よく埋め戻す工法である。硬化促進材としてMPMを使用することで、数時間で交通解放可能な即日復旧を実現する。
光ファイバひずみセンシング技術
光ファイバひずみセンシング技術は、通信用光ファイバをセンサとして構造物に取り付け、その変形や損傷を連続的に計測する技術である。これまでに、ビルなどのコンクリート構造物や河川堤防などを始めとして、様々な構造物への実証が進められている。
〈保守管理〉から積極的な〈運用〉へ
重要になる設備マネジメントの支援技術
通信土木設備は、通信基盤設備の拡充に伴ってますます複雑、高度化している。そのため近年では保守管理面のみならず、運用面が重視されるとともに既設設備の徹底的な活用が必要になっている。そのため、現状分析から保守運用及び徹底活用までのトータルソリューションを実現するためのマネジメントシステムを開発導入している。