展示パネル情報
2階フロア
ユーザ機器の技術(宅内)
電話機と宅内装置の歩み
電話からマルチメディアへ、システム化へ
ネットワークの進化を活かす新しい機能
ユーザ機器はネットワークと人間の接点である。電気通信システムは、人間がユーザ機器を直接操作することによって利用される。ユーザ機器は、電気通信システムの進歩と歩調をあわせるとともに、送受する情報のかたちを音声から文字や画像などに広げ便利な機能を付加するための工夫を重ねて、多彩に変容を遂げてきた。
家庭用電話機の進歩
基本電話機の開発から多機能化へ
暮らしの変化に対応して便利さを追求
生活の変化に伴って電話機に対するニーズが多様化すると、それに応じるかたちで家庭用電話機も多様化している。例えば、家庭用電話機は1回線を1台で利用するだけのものだったが、複数回線を数台で共有できるようになり、留守番機能などの新機能も追加した。また、データ通信に関するネットワーク構築の進展に応じて、ホームバンキングなどのシステムの端末として利用できる電話機も登場している。
国産第1号2号共電式壁掛電話機
基本電話機の進歩
戦後の電話事業の復興に大きな役割を果たした4号電話機は、送受話器を高性能化して通話品質を向上させて、600A形電話機に発展した。さらに、接続制御信号を交換機に送り出すダイヤル部分の開発が進み、ダイヤルを回す代わりにボタンを押すプッシュ式が登場した。プッシュ式はデータ通信の分野に対応している。その後、データ通信の利用なども含めて多機能化を進め、留守番機能などの新機能を電話機に追加した。
回線器具類の進歩
電話機など通信端末を通信回線に接続するために、その接続部には従来、外線端子盤、ローゼット(差込ジャック)などを使用してきた。1985年1月、NTTの民営化に伴い電話機が開放され、電話機を自由に設置できるようになった。これを契機に、接続・切り分けが容易なモジュラジャックが登場し、お客様サービスの向上と端末機器市場の活性化につながった。
ホームテレホンの進歩
通信に対するプライバシーの確保が家庭内でも重視されるようになり、家庭によっては部屋ごとに電話機を設置するようになってきている。これに対応するために開発された電話機が親子式のホームテレホンである。当初は1回線を2台(親機と子機)で共有しており、後にボタン切替式で4台まで使用できるようになった。さらに、電子化により新機能が付加されたり、コードレスの機種も開発されるなど、利便性の向上が図られている。
高度化する留守番機能にファクシミリも
多機能化はデータ通信対応へ向かう
多様化するニーズに応えるために、通話機能だけであった基本電話機の多機能化が進められた。初めに行われたのは800形電話機への留守番機能の組み込みである。この機能は応答メッセージを流すだけの機能であったが、後にメッセージの録音やリモート操作も可能な機能となった。留守番機能のほかにも、FAX機能やデータ通信機能など、さまざまな用途の機能を搭載した電話機が開発されている。
戦後初の量産機
4号A電話機
戦災で荒廃した電話事業を新形高性能電話機で復興させようと、戦後いち早く開発に取組み1950年に実用化した。物資不足に加えてすべてが〈0からの出発〉という悪条件にもかかわらず、当時の製造レベルに合致した量産が可能となるばかりか、通話性能において当時の世界水準をしのぐ出来栄えで、戦後復興の立役者として普及した。
通話品質の飛躍的向上
600A形電話機
4号電話機の成功に続き、次世代電話機の開発が開始され、価格が同等のまま伝送特性で10db(約3倍)も優れた600A形電話機が誕生し、1963から導入された。結果として加入者ケーブルの細心化も促進されたことから電話事業の発展にも大きく寄与した。なお、1971年には、ホワイト、グレー、グリーンによるカラー化も行われた。
プッシュホン
600P形電話機
米国におけるタッチトーン電話機旋風の余波を借りながら、コンピュータ通信できる新しい電話機として、押しボタン式ダイヤル電話機が実用化された。1968年から登場したが、ダイヤル操作の容易さからプッシュホンと愛称され高く評価された。その後、短縮ダイヤルや端末間信号伝送など機能ボタン(*と#)の活用も含め、新サービス拡大のさきがけとなった。
電子化電話機
800P形電話機
ますます多様化、高度化するお客様の要望に応えて800P形電話機が開発され、 1983年に販売開始された。基本回路から付加機能のための回路までワンチップ上に集積した カスタムLSIを用いての電子化電話機で、デザイン、カラーなどの多様化はもとより、 利便性の高い機能を付加した。その後、到来した電話機の競争市場でも先導的な役割を果たした。
送受話器の性能向上とダイヤル部の革新
回路部の電子化で小型化と多機能化を実現
戦後の電話事業の復興期には、通話品質と量産性が重視されて標準電話機が開発された。電話機の充足が進むと、新たな電話サービスを提供するために、ダイヤル部にコンピュータと連携する機能を備えたプッシュホンを開発した。その後、回路が電子化されて電話機本体の小型・経済化が進展すると、留守番機能などのさまざまな新機能が搭載されるようになった。
聴覚障害、視覚障害対応から出発
より多様で複合的な障害への対応へ
産業優先の高度成長社会から福祉指向型社会への移行に伴い、電気通信サービスにおける福祉対応の必要性も徐々に高まっていた。これに応えて、盲人用ダイヤル盤をはじめとする福祉対応用機器の開発が進められ、ひとり暮らしの老人向け、視覚障害者向け、難聴者向けの電話機を順次実用化した。1972年には、盲人の職域の拡大を目的とした盲人用PBX中継台も実用化している。
画像通信のできる電話機を
静止画伝送からテレビ電話へ
1965年から始まった画像通信の研究が進み、アナログ回線を利用して静止画を伝送するテレビ電話機を実用化した。1970年代に大阪万博や東京-大阪間で通信試験を行い、1988年に動画を伝送するテレビ電話機を実用化した。1992年には、ISDN回線を利用する機種も登場している。テレビ電話の技術は、手書きのイメージを伝送する通信機器やISDN回線を利用する画像監視システムにも利用された。
公衆電話の進歩
硬貨式から磁気カード式、ICカード式へ
より便利な料金収納システムをめざして
公衆電話は、5円・10円・50円などの硬貨発行に応じて、通話料金収納に関する機構の変更を行った。1960年代後半になると、ダイヤル市外通話が可能で10円と100円を使用できる機種を導入した。その後、カード技術の向上によって、磁気方式のテレホンカードやICカードで料金を収納する公衆電話を導入した。
公衆電話ボックスのデザインの進化
公衆電話ボックス第1号以降、さまざまな公衆電話ボックスを製作した。そのデザインは、街の景観への調和、利便性、耐震性、遮音性、照明などを配慮したものとなっている。
ディジタル網と電話機
ISDNに対応するディジタル端末機
端末機の高機能化で新サービスへ
1988年にISDN(INSネット64)のサービスに伴い、ターミナルアダプター、ファクシミリ、PBXなどさまざまなISDN用ディジタル端末が登場した。これらの端末の回路の高性能化やメモリの大容量化など急速な発達とともに、パケット通信モードサービスやグループセキュリティサービスなど、新しいISDNサービスが開発・提供されている。
企業通信システムの進歩
電話回線の共有から企業内ネットワークへ
高速ディジタル回線でマルチメディアへ
企業における最初の通信システムは、電話回線を共有するボタン電話装置であった。その後、電話機の多機能化や構内交換機(PBX)の開発により音声系の通信システムが拡充し、使用される回線もアナログ専用線から高速ディジタル回線へと高速化した。さらに、音声、データ、映像などのメディアごとに構築されていたネットワークが統合し、CTI(Computer Telephony Integration)やIP技術を取り入れた企業通信システムへと発展した。
電話機とコンピュータが融合した、CTIとIP技術
1人1台から1人1ナンバーへ
オフィス用電話システムの進化
最初のオフィス電話として、複数回線を10台程度の電話機で共有するボタン電話が実用化された。当時はすべての電話機に着信が通知される仕組みであったが、構内交換機(PBX)の登場により内線番号を使用して特定の電話機に特定の外線を接続できるようになった。その後、手動であった取次操作が自動化され、使用する内線電話機もビジネスホンを含め多機能な機種になった。画像通信やデータ通信に対応したPBXも登場している。
初期のオフィス電話―ボタン電話
1959年に1号ボタン電話を実用化した後、1964年には外付けであったボタンなどを電話機本体に組み込んだ2号ボタン電話が、1965年には2種類が追加されて全3機種となった3号ボタン電話機を順次、実用化した。回転式ダイヤルの標準機種となる改3号ボタン電話は、1969年に実用化している。
ディジタル技術で高機能化したビジネスホン
データ通信やCTI機能への対応も
ビジネスホンと呼ばれる電話システムは、1980年に実用化し、1983年から本格的に導入している。その後、アナログ式とディジタル式の両立てで進展したが、ISDN時代を迎えディジタル式が中心となり、データ通信に対応した機種やCTI機能を搭載した機種も開発している。
構内交換装置(PBX)の進歩
自動化と高機能化、ビル電話も
事業所などにおいて外線と内線の接続や内線相互の通話を実現する構内交換機(PBX)は、当初は交換手による手動操作を必要としていた。自動化が進展すると、ディジタル伝送技術の進歩などを背景にディジタル信号で伝送・交換するディジタル交換方式となり、さまざまな機能を搭載したPBXを開発した。
A4判6分からスタートした伝送速度
低価格化による普及と高機能化の進展
最初に標準化されたG1ファクシミリではA4判1枚の伝送に6分かかっていたが、G2、G3、G4へと標準化が進展すると、伝送時間は1分~数秒まで短縮された。これには、伝送する画情報の圧縮技術やモデムの進歩も貢献している。また、低価格化による普及拡大を目指して、原稿の読取技術や記録技術などの新方式が開発された。その一方で高性能化も進められて、写真をカラーで鮮明に伝送できる機種も登場している。
より速く、より鮮明な送受信をめざして
G3、G4機で開花したキーテクノロジ
ファクシミリでは、紙面上の情報(2次元的な情報)を送信側のスキャナ部で1次元的な情報として取り込み、受信側で再び2次元的な情報に戻す。その際に、送信側で送信走査・光電変換・変調を、受信側で復調・記録変換・受信走査を行う。また、変調前に情報を圧縮し、復調後に伸長することで伝送時間を短縮している。
LANからイントラネットへ
マルチメディア環境の発展
1980年代から企業においてLANの導入が進められたが、当初は音声系やデータ系といったメディア別のネットワークであった。1990年頃から、機器や伝送技術の進歩を背景としてメディアの統合が進められて、マルチメディア対応のLANが構築されるようになった。その後、インターネット技術を導入したイントラネットが登場したことにより、データ通信や電話サービスを融合するネットワークの構築も可能となっている。
事業所内LANとイントラネット
LAN配線システム
事業所間ネットワーク・システム・インテグレーションとエクストラネット
高速化とマルチメディア環境