フロアガイド
1階フロア
トランスミッションの技術
陸と海の情報ハイウェイ技術(伝送、線路)
アナログ伝送の技術
交換機と交換機を結ぶ中継伝送路はネットワークのハイウェイ。効率的な伝送のために、多重化によってより多くの通話路を伝送する技術が追求されてきました。
戦前からの無装荷搬送方式は、平衡対ケーブルを使う方式で戦後も中継伝送路設備のために活躍します。多重化も6通話路から24通話路、そして60通話路へと進展しますが、同軸ケーブルによる伝送方式が登場すると主役は交代します。
最初のアナログ同軸伝送方式は4MHzの帯域で960通話路を伝送しました。更に12MHzで2,700通話路、60MHzで10,800通話路と多重度を高めていきます。この間に真空管からトランジスタへの転換がありました。固体化によって、装置は小型になり信頼性は高まり保守は容易になりました。
アナログ伝送方式では、短距離区間に適用された短距離搬送方式もあります。平衡対ケーブルによる2線式で経済性の高いこの方式は、都市近郊の通話需要の増加に応えるものでした。真空管から半導体素子への転換は、ここでも起こりました。
短距離PCMからディジタル同軸へ
ネットワークのディジタル化の端緒は、短距離PCM方式の開発でした。戦前に提案されたパルス符号変調は、半導体素子の進歩で実現の見通しが立ちました。そこで、アナログの短距離搬送方式の後継として開発されたのが、24通話路の短距離PCM方式です。経済性に優れたこの方式は、全国の短距離区間に導入されただけでなく、海外にも輸出されました。
短距離PCM方式の開発では、符号化や多重化回路などディジタル伝送の基礎となる技術が研究され実用化されました。それは、ディジタル同軸方式に引き継がれていきます。ディジタル同軸方式は、100Mbpsから400Mbpsへと高速化しますが、中継間隔は短くなり、光ファイバケーブルによる伝送に道を譲ることになります。
光ファイバの登場と伝送技術の革新
<ひろば>を飾るF-32Mを起点として光伝送方式の進歩はめざましく、ギガビットの世界に突入します。その背後には、NTT独自の光ファイバ製造技術の開発、波長1.5μmの低損失帯の発見、光増幅器の開発などがありました。なお、海底伝送方式では、アナログ同軸方式から光伝送方式へと一気に転換、光増幅器も早期に導入されました。
多重化と有線伝送路の利用技術
アナログ多重化は周波数分割多重によるものでキーとなるデバイスは発振子とフィルタでした。ディジタル多重化は時分割多重によるもので同期の方法が重要になります。有線伝送路を効率よく使うための技術も多彩に開発されました。
展示概要
陸と海の情報ハイウェイ技術
中継伝送路は有線と無線。有線伝送路の媒体はケーブル。ケーブルは平衡対から同軸、光ファイバへ。信号はアナログからディジタルへ。
アナログ伝送技術(無装荷搬送方式)
平衡対ケーブルを使って60通話路を実現したX-60方式。しかも、重信方式で既設のケーブルを活用。
アナログ伝送技術(アナログ伝送同軸方式)
最初はC-4M方式。全国展開され中継伝送路の主役となったC-12M方式。世界最大容量のC-60M方式。固体化の進行もユニットで紹介。
アナログ伝送技術(短距離搬送方式)
最初のT-12M方式と固体化されたT-12M-Tr方式。改良を重ねて経済性を改善、完成度を高めた。
ディジタル伝送技術(短距離PCM方式)
ディジタル伝送技術の出発点。キーテクノロジとしての符号化や多重化回路の開発も紹介。
ディジタル伝送技術(ディジタル同軸方式)
最初に登場したDC-100M方式。世界最高速度を達成したDC-400M方式。
ディジタル伝送技術(ディジタル - アナログ併用方式)
データ通信の信号をそのままアナログ伝送路で。
光伝送技術
F-100Mからギガビットの段階へ。光エレクトロニクスの成果を活かしたキーテクノロジ。高密度波長多重(DWDM)の開発。
多重化の技術
アナログ多重化の変換装置と搬送波供給装置、ディジタル多重化の変換装置とクロック発生装置。多重化のハイアラーキとその国際標準化。
有線伝送路の利用技術
NTSCもハイビジョンも送るテレビ信号の伝送。高速ディジタル専用サービスを支える技術。
海底伝送方式の進歩
戦前からの長い歩みと敷設船の映像記録。アナログ同軸方式から光伝送方式へ、高密度波長多重へ。