通信技術と建築技術

通信設備のための建築は、当然、通信技術の要請を受け、それを反映しつつ進歩していきます。たとえば、クロスバ交換機C400の時代の建築は、交換機が高架であったため、通信機械室の天井高は非常に高く、普通の天井高の事務室との関係をどう調整するかに工夫を要しました。ところがディジタル交換機D70は低架で天井高は事務室と同じでよく、通信機械室と事務室の互換性をどう活かすかが課題となりました。通信建築の技術は、通信技術と社会との接点の一つです。

通信建築の3つの時代

戦後50年の通信建築の流れを大きくみると、3つの時代に分けて考えられるようです。第1期は、戦争の荒廃からの復興のために大量建築が求められた時代。標準化、工業化が課題でした。第2期は、設備の大型化が進む時代で超高層ビルと高い通信鉄塔が特徴です。第3期は、基本的な設備投資が一巡して技術進歩に伴うリニューアルが進む時期です。既存施設の有効利用が課題となります。第2期を中心に、通信鉄塔の多様な技術とデザインが追求されたことも記憶されるべきでしょう。また、通信建築には、ネットワークの信頼性を確保する高度な防災技術、高顕熱の通信機器の発熱を効果的に処理し環境負荷の小さい空調設備の技術が常に求められ、技術開発が進められてきました。

通信建築技術の展開

逓信省時代から今日のNTTファシリティーズの建築部門に至る通信建築の専門家集団は、＜逓信建築＞と呼ばれる独自の様式を生み出してきました。独自性はデザインだけではありません。高い信頼性が求められる通信建築を舞台に高度な設計手法を確立、大組織で実行できるように標準化しました。それを一般の設計会社に提供したのが建築学会賞を受賞した＜建築計算ライブラリ＞です。これは電電公社データ通信本部が提供していた科学技術計算サービスDEMOS-Eの中でも最も広く使われたものであり、DEMOS-Eの終了後はCD-ROMとして好評を得ました。H形鋼などの品質が向上、日本の建築界が本格的に超高層時代に向かう時期。NTTビルの設計にももちろん広く使用され、代表例は竹橋の一ツ橋総合ビルです。

インテリジェントビルの技術

通信機器と配線がつまったNTTビル、技術の進歩を受けて変身しなければならないNTTビル－それらを長年手掛けて蓄積されたのが、通信技術と建築技術の融合から生まれるインテリジェントビルの技術です。最初のインテリジェントビルは、情報処理施設とオフィスビルが複合した品川港南の品川ツインズですが、これは自社用設備ビルでした。その後、市場性の高いインテリジェントビルが各地に建設されていきます。

展示概要

ABプレハブ局舎(模型)、DESC-C局舎(模型)

ネットワークを支える建築技術

通信建築の技術開発の歩みを概観。

通信技術と建築技術

C400クロスバ交換機時代の建築とD70ディジタル交換機時代の建築を模型で比較。通信機械室と事務室の関係に注目。

C400交換機時代の通信用建物(模型)

D70交換機時代の通信用建物(模型)

通信建築技術の発展（通信建築の3つの時代）

大量建設の時代、大型超高層の時代、リニューアルの時代の代表的な建築を紹介。

通信用鉄塔(模型):パイプラーメン型、シリンダー型など

通信用鉄塔の技術

無線技術、都市景観、防災や経済性－さまざまな視点から新形式が開発された通信鉄塔の代表的なタイプを模型で紹介。

赤外線外壁剥離診断装置

通信建築技術の展開

通信設備の建築で培われた技術は、事業を支えるさまざまな建築に適用。高い社会的評価を受ける。

空調設備技術

空調設備技術開発の具体例を映像も用いて紹介。

通信建築と防災技術

過去の被災体験を活かした防災技術。防火・消火技術と耐震技術を中心に。

インテリジェントビルの技術

通信技術と建築技術の融合としてのインテリジェントビル。品川ツインズの模型と映像で紹介。